今日の清心

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2020年02年22日 | 教科

「読書」の授業がある中1は,3学期にお試し読書と読書会を体験しています。以前ご紹介した高Ⅱのお試し読書(11月28日の記事)は,司書教諭が大学部の学部別に選んだ本を並べて行いました。今回の中1は「幅広く本を読もう!」というテーマのもと,図書館の本の分類に従って,各々の分野から「生徒自身」が本を選んでくるところからスタートしました。
まずは割り当てられた分野の本を求めて,1人3冊,本を探しにいきます。図書館に広く散らばる生徒たち。どの本が面白そうかな?

本が揃ったところで,自分の座っている机から1冊選び,3分間の読書タイム。先ほどまで賑やかだった館内がし~んと静まる中,読書に集中している様子が伝わってきます。

2類(歴史・地理)の机にはこんな本も・・・『学研まんが 日本の歴史』。1人3冊という枠の全てをこのシリーズに費やしたようです。

3分経ったらワークシートに書名と評価を記入し,次の本を求めて席を移動します。机毎に分野が決まっているため,色々な机を回るほどに手にする本の分野も広がっていくという仕組みです。もちろん,気になる分野に出会ったら,席を移動せずそのまま居続けても構いません。

生徒の感想を紹介します。
「小説でなくても面白い本がいっぱいあってびっくりした。いろんな分野の本を読むきっかけになって良かった。」
「普段はあまり読まない分野の本でしたが,面白そうな本もたくさんあり,意識がかわりました。これからは積極的に気になる本を借りたいです。特に良かったのは0類(総記)の本です。本が好きなので,すごいと思いました。」
「普段は図書館にあるたくさんの本の中から選ぶけれど,今回はみんなが選んでくれた本の中からだったので,選びやすかったし,表紙が見えることで本への興味が増えて良かったなと思いました。また,私が担当して選んだ7類(芸術)の本を見ていく中で,『こんな本も芸術の分類なんだ!』とおどろく本が多くあり,大きな発見になりました。」

お試し読書が少しずついろんな本を読む時間であったのに対して,読書会は全員が同じ本を読み,互いに意見や感想を述べ合うことで理解を深めます。今回は「リテラチャー・サークル」と呼ばれる方法での読書会を行いました。リテラチャー・サークルでは,小グループの中で「質問係→:読んで疑問に思ったり理解できなかったりした箇所を選ぶ」「イラスト係→印象的なシーンをイラストで表現する」など,各自の役割を決めた上で読書会を行います。

中1が挑戦するのは,日本を代表するSF作家,眉村卓さんの『通りすぎた奴』。電車で移動するように,エレベーターで超高層ビルを移動する近未来都市を舞台に,階段で移動する一人の青年と,彼が意図しないままに影響を与えた人々を描いた小説です。読み終わった後,生徒たちは「最後の一文が信じられない~」「これどういうこと?」と大いに盛り上がりつつ,各々の役割に従って作業を進めました。
SF小説だけに,イラスト係さんは苦労していましたが,傑作が続々と誕生していました。

「みんなが同じ本を読み,意見を言い合うのはとても良いことだと思いました。自分が思っていなかったことも,話し合うことでそういう考えもあることに気付くことができました。この本は読んでいてすごく楽しいし,疑問もたくさん浮かんだので,楽しくじっくり話し合うことができました。」
「自分と違う考え方を持つ友達がいたり,想像が豊かな友達がいたりした。本を読んで疑問に思ったこと,考えたことを話し合うことができ,非常に面白かった。」
「どの係も,書いていることは違っても,その書いているものが何を意味するのかは同じだということに驚きました。例えば,『イラスト係』が描いた絵の所に『質問係』が疑問を持ち,その質問の根拠となる所を『選び出し係』が選んでいて,『思い出し係』が自分たちと関係づけていたのが面白かったです。」

「次はミステリーでしてみたい」,「絵本でやっても楽しそう」,「家族で挑戦したい」など,意欲的なコメントもたくさんありました。色々な本を知ること。本を通してさまざまな考え方や感じ方があると知ること。どちらもとても大切なことです。次の企画も楽しみにしていてくださいね。

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