春は,本を読もう
2020年03年19日 | 日記
清心の一角にも春が来ました。
春を花壇に運んで来たのは神垣校長先生。18日の登校日を前に,職員室の横でせっせと花を植えていらっしゃる姿がありました。久々に登校した清心生の皆さんは,かわいらしく咲く花に気付きましたか?
家で過ごす時間が例年以上に長い春。時間を豊かに過ごす存在の一つとして、「本」があります。今日は校長先生の姿から連想された,「庭づくり」が印象的な本を3冊ほどご紹介します。
1冊目は,イギリスを代表する女性作家,バーネットの名作『秘密の花園』。主人公のメアリは,物語の最初,「え? 主人公がこんなにかわいくなくて大丈夫なの?」と思わず読者を心配させるほど「イヤな女の子」。そんなメアリが、両親を亡くして引き取られたのは孤独に過ごす伯父さんの家。メアリはそこで「秘密の花園」の存在を知り,閉ざされた庭を生き返らせることに夢中になっていくことで,変化していきます。庭が蘇っていくにつれ,周囲の人に心を閉ざしていたメアリも成長していく,その過程が生き生きと描かれている物語です。長雨の後,春の気配に気付いたメアリは窓を開け,手を日にかざして言います。
「あたたかい――あたたかいわ! これで,緑のとがった芽がどんどん上へ伸びてくる,そして球根や根が土のなかで,いっしょうけんめいはたらいてがんばるんだわ。」
まさに清心の丘でも,メアリの言葉のような現象が起きているはず。
2冊目は『ターシャの庭づくり』です。アメリカの絵本作家として活躍したターシャですが,それ以上に,自然を愛し,存分に庭造りを楽しみ,素朴な生活を貫いた彼女の生き方が世界中の人々の共感を呼びました。引用文は,暖冬の日本よりもずっと厳しい寒い冬を終え,春がやって来た時のターシャの言葉より。春の訪れを祝う気持ちは,世界共通です。
「家の北側に残っていた雪も完全に解けました。何もなかった地面にも,青々とした草が伸び,タンポポやスイセン,ワスレナグサやチューリップが咲き乱れる春がふたたび巡ってきたのです。
ハッピースプリング!」
3冊目は,宮崎駿氏による不朽の名作『風の谷のナウシカ』。映画は知っている,という人も多いかもしれません。が,映画のその後の世界や,そもそも映画では描かれていない人々,世界の秘密がマンガにはぎっしり。
さて,なぜ「庭づくり」からナウシカなのか…汚染された大地に誕生した「腐海」と呼ばれる森が世界を覆いつつある世界に,ナウシカたちは生きています。腐海の植物たちは猛毒の瘴気を発するため,人はマスクなしには立ち入ることができません。実はナウシカ,風の谷のお城の地下で,この腐海の植物を密かに育てていたのです。
「きれいな水と空気のなかではムシゴヤシ(※腐海の植物の一種。巨大。)だってこんなにかわいい木にしかならないの。瘴気もださないとわかったわ。汚れているのは土なんです。このものたちのせいではないのです。」
ナウシカはこの発見を手掛かりに,腐海の役割と生まれた謎を解き明かしていきます。…語り始めるときりがないので,ぜひ,ナウシカシリーズを読んだ人は図書館まで。
休校中の皆さんの読書の記録に,少しずつ目を通しています。「本をなかなか読めなかった・・・」というコメントがある一方で,こんな嬉しいコメントもありました。
「この1年間,特に2学期と3学期では,私の人格形成においてとても良い影響を与えてくれる良質な本と出会うことができて,幸せでした。3年生になってからも,たくさんの本を読み,たくさんの知識を身につけ,様々な人の意見に学び,好奇心を大切に過ごそうと思います。」(中2)
休校期間を経て春休みとなりました。本に親しみ,心を耕して、心の中にも春を迎えましょう。皆さんの読書活動を,清心の丘から応援しています。ハッピースプリング!